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書と早起き

 書展の懇親会後の喫茶店で、毎日一作を早朝にしている話をしていて「あなたも始めてみれば」とすすめた。相手は勤め人で、時間に追われる生活をしているに違いないのだが、あえて「朝、10分だけ書作の時間をつくってみては」と、おせっかいな提案をしてみるのである。

 書をしてみてわかることなのだが、書作の「時」は無の時空の一瞬間である。そうでなければ書けないのである。「無」と言っても簡単に説明はつかないが、書作をしてみると感じるのである。書の作品は、作者にとってみれば一期一会である。惹かれるものがあるとすれば、そんな「時」のなかで書かれたものであるのかもしれないと思うのである。

 

 忙しい勤め人は、私のおせっかいに同調しなかったのは言うまでもない。そんなの続けられる訳ないのである。早起きの動機づけに「書」が役立てばと思ったのだが。